そんなこんなで、人生初めての海外通販トラブルに巻き込まれパニック状態。
しかも直後から謎の自動音声(言っている内容がよく分からず)が頻繁にかかってくるようになり、変なところに個人情報が握られてしまった感じがする。
消費者センターに電話
とりあえず、消費者センターに相談しよう!ということで、自分が住んでいる区の消費者センターに電話するも繋がらず。この瞬間、自分以外にもトラブルに巻き込まれている人がいるのだなどと勝手な仲間意識を持ちながら待機。
しかし、やはり繋がらないので今度は区の消費者センターではなく東京都消費生活総合センターに電話。こちらは一発でお電話繋がりました。
ご対応いただいたのはベテランの風格溢れる職員さん。
海外サイトで服を購入したら粗悪品が送られてきたこと、返品先もよく分からない状態で、入力してしまった個人情報の行方も心配であることを伝えました。
その後はてきぱきと、購入したサイト、サイトを見つけた経緯、払った金額、注文した内容、届いた品と注文内容との差異などを確認され、このあと取る行動のアドバイスをいただきました。
・とにかくやりとりをすべて残す。(粗悪品だとしても、自分が商品もどきを持っている状態で返金を希望するのは厳しい。きちんと「返品するので返金してくれ」という意思を示す。相手はサイトやLINEを急に消去する可能性があるので、キャプチャをとっておき、念のためクラウドなどでのバックアップ保存がおすすめ。)
・海外から送られたものは必ず税関を通過しているはずなので、どのロジを使用したか確認する。場合によっては、ロジによる補償もある。(ただし、ロジがグルになっているケースもないわけではない。ロジも千差万別。)
・とにもかくにもアクションは早く。カード会社に補償やカードの使用停止について相談をする。
なるほど、なるほど。何だかものすごく(いい意味で)流れるような対応をいただき、これまでいろんなケースのトラブルに対応した知見が消費者センターに貯まっているのだろうなと感じました。
カード会社に連絡
続いて、カード会社に連絡。
「海外サイトで買い物をしたら粗悪品が届いて返品先を教えてもらえないため、いったんこの決済分は相手に支払われないように止めてほしい」と伝えてみました。
支払いを止めるかどうかの返答はなかったですが、とりあえずすぐにカード利用を停止しますとのこと。(がーん、まあでもそれが安心だよね…)
そして、「補償できるかのお約束はできないですが、補償申請の書類を送るので、それが届いたら今回の経緯を書いて提出してください」と言われ、書類を待つことに。
ただし、この補償申請をするには、警察署へ被害届を提出していることが必要だそう。何だか色々大変だ…。
警察署に出向く
おそらく、手間賃や労力の方が高くつくと考えて、わざわざ警察署に行く人は少ないだろうと思う。でも私は行く、行くぞ。詐欺撲滅のために。
警察署の正面入り口から「海外通販トラブルに巻き込まれたんですけど…」と相談してみたものの、刑事課の担当者とタイミングが合わなかったようで一旦帰宅。
夕方過ぎに刑事課から電話をもらい、このとあらましを説明。こと細かく「●日●時に〇〇ということがあった」という具体的な確認をされました。
そして、実際の粗悪品とLINEでのやりとりなどを見てもらうべく当日22時過ぎに警察署を再訪問。入口近くのテーブルに案内され、3本のパリパリのパンツを広げて事情を説明。
しかし今回のケースは「詐欺なのだろうけれど、相手を探すことと、詐欺だったという証明が難しい」というお話しに。
・粗悪品を送り付けられた場合⇒「送るものを間違えました!☺」と言われれば、相手に騙す気があったかは証明できない。
・支払い後、商品が届かない場合⇒「欠品しちゃいました!返金します☺」と言われれば、相手に騙す気があったかは証明できない。
結論、被害届は受理されず、相談内容の記録という形で終了。(カード会社への申請は被害相談した事実と受理番号があれば可能)
悲しみの中での学び
疲れ、悲しみ、(詐欺への)怒り、(怪しいものに安さで飛びついた自分への)悔しさなどいろいろなマイナスな感情が溢れてはいるのですが、せっかくの学びもあったので留めておきます。
・最近は精巧な違法サイトも多く、詐欺集団を相手にするような職業の人(例えば警察官)でも騙されるケースがある。ECというのは常にリスクがつきもの。利便性とリスクを天秤にかけ、それでもECを使うかは個人の判断。
・個人情報は、今回のサイトに入力していないとしても、既に漏れるところには漏れている。どんなに気をつけて生活していても現代では完全に個人情報の流出を止めるのは不可能。なので今回のことを特別気にすることはない。
今回の1件が特別な大ごとではないような気がして楽になったような、だけど同時に「詐欺撲滅は無理なんだな…」というある種の悲しみが増えたような。
持っているマイナス感情はその相手の黒さに向けてもどうしよもないことが分かると、そんな黒いものを信じてみようとした自分が憎くなったり、いやいや、やっぱり発端の詐欺師が全部悪い!みたいな気持ちで押し戻したり、そんな行ったり来たりを繰り返す。
金銭的だけじゃない心理的ダメージ
いまの自分は、今回の被害金額なら社会勉強代と自分に言い聞かせて、日頃のプチ贅沢を減らすなどしてちょっと自分を戒めて、何とか日常に戻ることがきる。
でもこれが、もっと大金だったり、行動する体力や気力がない時だと、金銭的によりも精神的に自分を責めてしまってきついんだろうな。詐欺の罪って、単に金銭的ダメージを与える以上のものだなと思いました。詐欺の罪は大きい。
越境消費者センター
今回、各方面への相談と並行して、越境消費者センターも利用しました。
国民生活センター越境消費者センター(Cross-border Consumer center Japan:CCJ)では、海外ショッピング(インターネット・店頭取引を含む)に関するトラブル相談を受け付けています。
こちらはメール対応のみで、即日返事がもらえる訳ではありませんでしたが、有用なアドバイスが書いた返事をもらうことができました。(内容の転載は不可とのことで、具体的内容の紹介は控えます。)
まとめ
海外通販サイトトラブルに巻き込まれて約3週間。
メディアを通して世の中で詐欺トラブルに関する情報は耳にしていましたが、実際に自分が直面すると、「金銭的にもだけど、心理的ダメージがでかい」「(今回経験した内容だと)刑事罰に処するハードルが高い」ということが見えました。
ちなみに、警察庁の発表によると2024年の特殊詐欺の認知件数合計は21,043件、合計被害額718億円超え。認知されていないものも合わせるとさらにとんでもない数字になります。
きっと多くの人が、「騙された愚かな自分を責める」経験をしたのではないでしょうか。体験者として、心の持ちようをどうすればいいのかを考えてみようと思います。